2008.
08.
30

奥にある民宿「海山木」(みやぎ)のオーナーは、志ある人です。
中学を卒業して、建設業に勤めていましたが、あるとき勤めを辞めて自らの手で、実家のすぐそばに民宿を建設しました。
旅が好きで、たくさんの旅を経験し、そして、読書をし、多くのことを知っています。
海山木に宿泊すると、上半身はだかで、半ズボンかパンツかわからないのですが、それをはいた姿で現れて、宿泊者たちが一つのテーブルで夕食を食べているときに同席して、お酒を飲みながら、語ってくれます。
1人で語るのではなくて、宿泊者に話しかけて、そこから繋がる体験談を語ったり、又話しかけたりしています。
わあー、面白い。と思いながらその話題に入っていきます。
哲学は、ソクラテスやカントが学問としたが、もともとは民衆の間で、答えがないことを語り合うということから発祥したものだ。
だから、みんなも議論してほしい。
そういう場をつくりたくて、おじさんはここで民宿を始めたんだ。
ということを酔っ払いながら語ります。
そして、民宿で得たお金を持ってまた旅に出ます。
旅に出て、旅先でも語り合い、民宿に戻って、宿泊者たちが語り合う場を提供する。
こうした語り合いから世界は変わると信じていて、
熱心に私たちに、もっと語り合え!と言ってきます。
わあー面白い。と思いました。
どこからでも、こうして、世界を変えていくための活動ができるものだなあと思いました。
一期一会の出会いの中で、くつろいで語り合うことができることもあるでしょう。
日常から離れた環境だからこそ、人生全体を振り返っていえることもあるでしょう。
朝、ゆっくりできませんでしたが、おじさんにお別れを告げて、また一路ドライブです。車に一台も会いません。
ヤンバルクイナのような鳥が車を横切るのを見ました。
神秘的な岩があるところも通り過ぎ、ガイドさんと待ち合わせして、やんばるの森をトレッキングです。
本州では見かけない生態系。南国らしい森です。
蛇に出くわしました。
蛇は驚いて、フリーズしています。
うねうねとうねった形のまま、つついても動きません。
私たち人間と、同じように、びっくりして固まってしまっているだけのようです。
やがて、動き始めて、横の土手をあがって去って行きました。
その去り際の、体を左右にくねらせながら進むさまは、なんとも美しいものでした。
まるで龍の後姿のように、誇り高く、背中を光らせながら、自然な姿を見せてくれました。

見晴らしのいいところで昼食です。
濃い森の木々の向こうに、太平洋が見えます。
ガイドの上野さんは、25年前に沖縄に移住した方でした。
詳しく森の動物に付いて教えてくれます。
尻尾のうつくしいとかげや、留まると木の葉のように羽が見える蝶など、珍しい動物を紹介してくれます。
沖縄独特の木の生え方、ともに協力しあいながら命を保つ植物の群生。
やんばるの森は、豊かに生きるということのメタファーの宝庫として、私の前に現れていました。
トレッキング後は、古宇利島へドライブです。
だあれもいないサトウキビ畑と真っ青な海。海へと続く道。

たった2日間でよくもまあこれほどたくさんの体験ができるものだと思うほどのたくさんの自然との出会いがありました。
途中で、もう満足。こんなにたくさんありがとう。という気持ちになって、那覇へと戻りました。
沖縄に来るのはこれで6回目でしたが、これほど私が望んでいた自然たちに出会えた事ははじめてでした。
西表島を訪れた3年前に匹敵するか、それ以上の、ほんとうにいいエネルギーをもらった旅でした。
短時間のひとりリトリート、最高の旅でした。
今も久高島の海が、辺戸岬の岩山が、エネルギーをくれているように思います。
自分の中心を改めて確かめることができました。
こんな機会をくれたなにものかに、ありがとうございました。
そして、全てはつながっているということを改めて思い出させてくれたリチャードボルスタット博士に、ありがとうございました。
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