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2006. 10. 27  
 乱暴な男の子がいました。すぐに殴りかかろうとしたり、蹴ったり、人のものを取ったりするのです。仮に、A君と呼びます。

 多くの同級生や先生から恐れられていました。


 席替えをすることになりました。クラスの中で、グループリーダーが推薦で6人選ばれ、そのうちの一人が私でした。そして、先生とグループリーダーの7人で相談して、誰がどのグループになるのかを決めていきます。(6人一組のグループで向かい合わせに座るという座席で、いつも授業をうけていました)


 Aくんのグループを決める段になると、5人のグループリーダーは、一緒のグループになるのがいやだとか、怖いと言いました。


 私は、特に怖くも嫌でもなかったので、「私のグループでいいですよ」と言いました。

 恐れるから、攻撃してくる。恐れなければ攻撃してこない。だから別に問題ないと感じていました。

 言い方は悪いのですが、犬の前を通るとき、怖い、と思ってびくびくしていると、それを犬は察知して、吼えられてしまいますよね?そのような体験をされたことがあるかもしれません。

 それと同じなんだと当時思っていました。

 

 かくしてAくんは私の隣の席に座ることになりました。

 冷静に様子をみていると、A君の向かいに座っている女の子はびくびくしていたので、よく攻撃されていました。机を蹴られたり、文房具を取られたりしていました。

 私は、特にとがめることもなく、ただ普通に他の同級生と同じように接していました。

 Aくんは、隣の席の私には、一切攻撃してきません。

 それにしても、様子を見ているとAくんはとても面白い人だということが分かりました。ユーモアのセンスがあるのです。だから私はいつも笑っていました。笑いながら「A君って面白いねー!!」と、心底思ったことを、一日に何度も彼に言っていました。

 クラスメイトや先生たちは、Aくんのことを乱暴で怖いと、先入観や人が言ったことで、決め付けているだけのように思えました。


 人が言ったことを鵜呑みにして、あるいはある表面的な部分で判断し、自分自身の目で人を見ていないと思いました。


 何でこんなに面白くていい人が、皆に受け入れられないんだろう?と、Aくんの市民権(?)が奪回されるといいなと思いました。Aくんって、いい人だよ。と、折に触れて回りに言っていました。

 Aくんはあまり勉強をしない子でしたが、次第に私に分からないところを聞くようになりました。 
 教えてあげると「あ、そっか!」と、素直に学びました。

 まともに会話する相手は初めの頃はわたしだけでしたが、2年生が終わる頃には、いろいろな人と話をするようになりました。


 3年生になっても、同じクラスになりました。

 
 そしてまた、分からないところを教えてあげたり、音楽の話やたわいもないおしゃべりをして、楽しく笑っていました。



 3年生が終わる頃には、驚いたことにAくんは学年でもトップクラスのモテる男の子になっていました。


 Aくんのよさが、皆に分かってもらえて、よかったな、と思いました。卒業式の日、制服のボタンがひとつしかのこっていませんでした。


 
 Aくん、今はどうしているのでしょうか。




 先入観や人のうわさではなくて、本当に自分自身の目で、確かめる。

 表面ではなくて、その行動をしている意図を汲む。

 どうかそうした環境の下に、人が育っていって欲しいと思います。 
 

 
 
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プロフィール

株式会社ひらり 大江亞紀香

Author:株式会社ひらり 大江亞紀香
その方のコアからの人生の創造を支援するため、コーチング、NLPを軸に活動しています。

1.自分(存在)を掘り下げ
2.そこから未来を描き、目標を定め
3.人生をクリエイト(創造)する

この道程を通ることで、周囲に振り回されることなく、充実した、幸せな人生を手にすることができると信じ、この課程を支援しています。

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