2011.
12.
06

今年一年間、仲間たちと阿部國治氏著『新釈古事記伝』全7巻の読書会をしていました。この本は本当に素晴らしい本だな、と感じています。私は国文科でしたが、こんな解釈の古事記に出会ったことがありません。
戦前に阿部先生から教えを受けられた栗山要さんという方が編纂されていて、2000年に出版されたのですが、戦前教育の美しさの一片を見るような、それに触れるような思いがします。
一般に知られている古事記の解釈とは違い、著者の阿部先生の「『古事記』の原典と『古訓古事記』とを”みたましずめ”をして、いわば、心読、体読む、苦読して”何ものか”をつかんだ上で、その”何ものか”を、なるべくわかりやすく、現代文に書き綴ったもの」(新釈古事記伝冒頭文より)で、一度軽く読むだけでは、解釈しきれない、私たち日本文化に触れて育った者たちの心の底に流れる共通の何かを言葉として掬い取り、しかも感性や感覚だけではなく経験や実感に裏打ちされた表現として、私たちに伝えてくださっています。
読書会をしてきて思うのは、一回だけではなく、何度も何度も吟味して味わいたい、座右の書とでもいうようなものになっていきそうです。
少し前の女性がお嫁に行くときには『源氏物語』全巻を持って行ったといわれるように、あるいは、少し前の家庭には百科事典が置かれていたように、この全7巻は、一家に一式ずつあるといいと思う位の、日本の財産のようなものに思えてなりません。
ご購入されたい方は、ルナ企画さんへ電話かFAX(078-997-0181)でご注文いただくと、とてもうつくしく包まれて(心の美しさが伝わるような美しさで)送られてきます。
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